2035年、電脳世界(メタバース)『ビヨンド』は隆盛を極めていた。
専用の機械「HEGG(ヘッグ)」に入ることで
脳波とリンクし、現実と遜色ない“第2の世界”を味わうことができる。
2029年に始まったそのサービスは瞬く間に世界中に広がり、
今では全世界人口の半数以上がビヨンドでの“生活”を楽しんでいる。
ある日、ビヨンドに異変が起こった。
原因不明の“異常状態”になるという事例が相次いで報告されたのだ。
件数こそ多くはないものの、“異常状態”にかかったプレイヤーの
現実世界での死亡が確認されたという噂が流れたことから、
ネット上では問題視する声が高まりつつあった。
とあるイベントにも、その影響は及んだ。
打ち捨てられたダンジョン攻略のため集まった7名。
攻略は何事もなく成功するかと思われたのだが…。
突如ダンジョン内にこだました叫び声。
集合した参加者が目撃したのは、不自然に停止し、
身体(アバター)のところどころがノイズにえぐられた
イベント企画者の姿だった。
それは噂に聞く“異常状態”そのもの。
放置すれば、現実世界で人が死ぬ。
ことの重大さに気づいた参加者たちは、
広大な世界(メタバース)の捜索を開始した。
すべては、彼の命を救う方法を探すため。