どこまでも続く水平線、美しい海のど真ん中。
これから世界に革新をもたらすIT系メガベンチャー企業の
クルージングパーティーが行われていた。
集まったのは、企業の社員をはじめ、
開発に協力する教授、投資家とその秘書。
各々が自分勝手な期待を胸に、
海上での優雅なひと時を楽しんでいた。
というのも、「大切な話がある」と
社長が一部の参加者に漏らしていたためだ。
豪勢なランチに舌鼓を打ちながら、
参加者は社長の発表を今か今かと待ちわびていたが、
いつまで経っても社長は姿を現さない。
不穏な空気が漂いはじめ、一同は社長を探すことに。
すべての船室が調べられ、
唯一鍵のかかった社長室の扉を開けた時、
そこにあったのは浜辺に打ち上げられた魚のように
くたびれた、ずぶ濡れの社長の遺体だったのだ。